いよいよ、本番をむかえる。
金曜日の夜、一度家に帰り、夕食をとり、下着を着替えて、
念入りにパッキングした15キロのザックを背負って家を出る。
バスの中ではき替えるサンダルでも平地ならてくてく歩けると知り、
家からサンダルで電車に乗る。このほうが楽だから。
新宿都庁下のバスターミナル22時半集合。23時出発。
新宿駅南口から、帰宅のサラリーマンや学生たちとすれ違いながら歩く。
15キロのザックを背負っている姿はやはり特殊な存在だと感じる。
途中のコンビニでマスクとおにぎりと水を買う。
6時間、バスに揺られて、夜明け前の新高穂温泉に降ろされる。
(標高:1090m)
あまり眠れなかったが、その分今夜テントで寝付きやすいだろうと
切り替える。気にしない。体は動く。
てくてくとしばらく林道を歩き、登山道入り口で、登山計画書を届出す。
浅賀隊長から、レクチャー。簡単にストレッチ。準備体操。
6人のパーティー。一列縦隊で前に進む。最年長の初心者は
中央に挟まれて様子を見守られながら、前に進む。
30分歩いて、小休憩。小休憩というよりは、
最初の水場で水汲み。
30分歩いて、ザックや身なりの確認。
これからは30分程度では止まりません。
水を汲み、水に栄養補給剤を溶かし、
行動食をいくつか口に放り込み、
体も温まってきたので、一枚レイヤーを脱ぐ。
いよいよ、これから本格的なトレッキングなのだ。
AM:7:00
一時間強歩いて、秩父沢にて休憩。
鮮烈な沢の水が流れている。
ふー、なんとか、まだまだ、大丈夫。ついていける。
AM:8:30
北アルプス周辺は登山の人気スポット。
登山道はよく整備され、歩きやすい。
ポイントポイントに目印があり、
目印は登山者にとって大切なことと理解できる。
ここがどこか。ということの理解は大事なことなのだ。
山の天気は変わりやすいという。
雲が動き、太陽が動き、レンブラント光線が降り注ぐ。
9:35
シシウドガ原で小休憩。
かかとあたりが少し靴ずれの予感がする。
テーピングテープをを予防のためかかとに貼り付ける。
鏡平山荘につくころには、霧が立ち込める。
小雨も降り始めてちょっと肌寒い。
標高2.300m AM:11:00
ここで、昼食。山荘で注文。
ラーメンを食べるもの、カレーを食べるもの、両方を食べるもの。
予定よりも一時間ほど速いペース。順調順調。
山荘での情報によると、上(双六小屋)は雹(ひょう)が降っていて、
小さい子供さんは、ちょっとかわいそうかもよ。
などという会話が聞こえてくる。
ザックカバーや雨具を装備・点検して本日後半戦に出発。
雲の動きが速い。
ちょっとした晴れ間に槍ヶ岳山頂が見えて、はしゃぐ。
しばらくすると、また霧に包まれる。
弓折乗越にて小休憩。
尾根を歩いて歩いて、本日の終着ポイント、双六小屋が見えてくる。
あと、ちょっと。モチベーションがちょっと上がる。
双六小屋、テント場に到着。
やったー。と普通であれば笑顔でお疲れ様。ひとまず、
ビールでも買って乾杯!となるところ、
あろうことか、雹が降ってくる。冷たい風が強くなって吹いてくる。
初めてのテント張り。
で、
まさかの展開。
風邪などひかぬよう・・・。どころではない。
生きるか死ぬかの状況でもある。
むこうで、テントを飛ばされている人がいるとか。聞こえてくる。
氷の粒が当ってイタイイタイという声が聞こえてくる。
確かに、痛い。
覚えてきた段取り、練習した手順。
本で見た強風下、悪天候のときの注意。・・・を頭に浮かべながら
初めてのテントを張る・・・。
標高2550m 雪交じりの強風にさらされてる場合じゃない。
なんとか、組み上げて、ペグを打ち付け、綱を張り、
飛ばされないように念には念を入れて、テントの中に滑り込む。
今晩一晩、ここで、過ごすのだ。
通常であれば、テントの周りでストーブを焚き、
湯を沸かし、つまみと酒と晩飯でやいのやいのと楽しむところ。
雪交じりの嵐の中ではそうもいかず、
双六小屋に避難して、熱燗を頂戴する。
緊張を少し和らげ、明日以降の計画を立てる。
それでも、予定より、少し早目についてよかった。
夕方、5時にはテントの中に。
翌朝の出発は予定より遅らせるとリーダーより通達。
一人12時間、不慣れで不安な夜をシュラフに包まって過ごす。
俺だってあんなに強い風の中でテント張ったことないなぁ・・・。
って経験豊富な副リーダーが言ってたっけ・・・。
手伝おうと思っていたら、案外手早く張れてましたね。
って言われてちょっと嬉しくもあったのでした。
だって、寒かったんだもん・・・。
随分エキサイティングな初テントになったもんである。
強い風と冷たい空気とで今夜はたっぷりぐっすり眠るはず。が
あまりよく眠れなかった初日の夜でした。
つづく
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