ハングタイム・ライターズ

何も見ない日はないのです。何も思わない日はないのです。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:DESERT FLOWER

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アフリカはソマリアの砂漠を生き抜き、ヨーロッパへ逃れてきた一人の少女が、
世界的トップモデルへと駆け上っていく実話を基にした今作。
映画のヒロインは強く美しくなければいけない、ということを実感させられます。

しかも、彼女は古い宗教的因習ゆえに、3歳の頃に女性性器を切除(イタイ!)
されたという経験を持ち、その廃絶のために今もメッセージを発信し続けています。
ちなみに、そうした恐ろしい切除を受ける少女は、今も1日6000人以上いるんですって!
1日ですよ。
日々、そんなことが行われているなんて、早く止めてあげてほしい。
ていうか、そうゆう因習を守り続ける頑な男たちの先っぽを切ってやりたいね。

映画も、ただの成功譚で終わるのでなく、廃絶を広く訴えるためのものでもあります。

世界へ向けてこうしてメッセージを届けることができる映画というメディアは、
ある意味、すごい武器ですね。
映画だけでなく、写真もそうですよね。
実際に、この映画のモデルになったワリスさんも、高名な写真家に見いだされて、
彼の腕と彼女の勇気が世界を動かすことになったことを考えると、ちょっと心が震えます。

1枚の写真や1編の映画が、人の心をつかむという事。
それを信じて映画を作っていきたいと思いました。

2011/01/12/tenko

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:ノルウェイの森

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出ました。

これほど賛否両論が沸騰すること必至の原作の映画化。
正直、私もこの作品を映画化できたら、プロデューサー辞めても良 いと思ってました。
そう言った意味でも、誰に何を言われようと、
この作品のプロデューサー・アスミックの小川さんを尊敬します。
『ワタナベ』役を松ケンにしたのも素晴らしい。
彼ほど、役ごとその世界に連れて行ってくれる俳優は滅多にいないと思います。
と、手放しで褒めるのはこれぐらい。

贅沢に作ってますよ、この映画は。
時代感を出し、四季を追いかけ、ここはこだわる、
というカットを極限まで追求して撮ってます。
究極はビートルズの原曲使用権を買った事。
この1曲分で私なんか映画3本ぐらい作りますよ、とイヤミ言います(貧乏だな)。

しかし...しかし......しかし!
この曲使用の制限って何かあったんでしょうか?
どうして原作の「最後のお弔い」というシーンがないのでしょうか?
シーンとして必要ないと判断したのか、必要なければ、この曲自体が必要だったのか?
大いなる謎。
ここまで何のこっちゃの物語で映画を終らせて良いものでしょうか?

いや、この原作はそれだけじゃないはず。
生命力の固まりのような「緑」と、死に取りつかれた「直子」の対比を、
原希子と菊地凛子に託して良かったのでしょうか?
ベトナム人監督:トラン・アン・ユンの言う事に一切逆らえなかった、
という事情は漏れ聴こえて来るので、
これ以上文句つけるのは関係者に申し訳ないのだけれど、
それって観客には関係ない事でもあるので、どうにももどかしい。
演じた上に文句までつけられる菊地凛子にも申し訳ないのですが、
ホントに......もう......ダメよ、
彼女を直子にキャスティングしちゃ。
確かに妄執に囚われて行く様を演じたのはすごいけれど、
「どうしようもないほど心を奪われる」
という女としての魅力からは遠くないか?
それって私の思い違い?

後、これはどうなってる、あれはどうなんだ、
と言いたい事は山ほどあるのだけれど。
......まあ、いいよ。
どこまで文句つけても、これを手がけた人にはかなわないのだから。

2011/01/05/tenko

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:SPACE BATTLESHIP ヤマト

フィルムラッシュ:SPACE BATTLESHIP ヤマト
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明けましておめでとうございます。
長閑に晴れ上がった東京です。
みなさんは、お正月をどのように過ごされてますか?

お正月は映画、ということで、行ってきました「ヤマト」。
いや、噓。
実は観たのは去年の30日。
何を観て年越しするかってのが結構悩ましい選択だったのですが、
やっぱり話題に乗っとくか......ということで、わざわざ年越しに。

すごいですよ〜。
「ヤマト LOVE」な人が集まって作りました、という映画です。
「波動砲」も「ワープ!」も完璧。
デスラーの伊武雅刀もしぶい!
そこはこだわりどころよね、という所をはずしてません。
そんな「親目線」で観ればとても面白く、ヤマト漫画ファンは見逃せない作品です。

そうゆうの抜きで観たとしたら......、木村君がんばったな、という作品。
ここまで何やっても木村拓哉になる、いや、「にしかならない」という彼は、
ある種、本物かもしれません。
何やらしても「ヒーロー」=「木村拓哉」という存在として
イメージングされてきた希有な俳優(タレント?)です。

その他のいろいろは観た人の感想にお任せするとして、これだけは言いたい。
日本の映画の特にこうしたパニックものでいつも思う事。

「どうしてこの緊急時にそんなにのんびりしてるの?」
呆れるくらい、登場人物の背景を説明したり、気持ちの整理をつけたり、
主要な俳優全員のリアクションを押さえたりと、ほんとうに丁寧な演出で、
ふと『これは今、何中?』と事態を忘れそうになります。
ストーリーとしては必要なのだろうけれど、なぜか洋物の映画では
そんな風に感じたことはないのです。
命の危険にさらされていて、もうこれで今生の別れ、という時の
ハラハラドキドキ感をきっちりキープさせつつクライマックスに持って行ってくれます。

ヤマトの諸君。
君たちの都合で敵は襲ってくれないよ。

2011/01/01/tenko

ニシグチtenkoノリコ

ドラマ旬報:「月の恋人」

もう、すでに3話目から見てないのですが。
一応、2話まで見たしっと。

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みなさんは、どうですか、今回の月9。
1話を見たときは、どうしましょうとドンドン不安になり、
最後は笑っちゃうファッションショーで、
それでもキムタクって数字取っちゃうんだからすごいぜよ
(と土佐弁使わないとやってられない)。


これだけのキャストをそろえながら使いこなせないってどうなの?
リン・チーリンはそれはもう、きれいすぎてそれだけしか見るべきがない、というドラマ。
とはいえ、かみ合ってる?木村君とリン・チーリン。
唯一ホッとするのが満島ひかりと濱田学の二人のとこだけってのが、もう......。
松田翔太は何かキモイし、阿部力はゲイである必要があるのだろうか?


これ、一応、道尾秀介の原作なんですよね。
そして、脚本は浅野妙子さん。
浅野さんだからある程度期待してたけど、
月9って結局誰と誰がどうしたこうしたって話でしかないのでしょうか?
2話までしか見てないくせに文句ばっかり言ってますね。


これは、レビューにならんぜよ。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『息もできない』

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韓国人って本気度が違います。
たぶん、絶対殴ってる。
それほど圧倒されるリアリティと、
暴力満載なのになぜか美しい映画でした。

主演は、見れば見るほど中田英寿に見えてくる
監督・脚本・主演のヤン・イクチュン。
微妙だけど、やっぱりかわいく見えるキム・コッピ。

最下層のさらに末端といった二人が出会って、
ちょっとずつでも「自分の人生は捨てたもんじゃない」と思い始める。
それでも這い上がれないモノはどうしようもないのだけれど、という内容。

なんでも大人計画の人が観劇してて、
まさに体を折るようにして号泣してたそうな。
「そこまで?!」とは思いましたが、
切ない現実を切り取った映画で、魂がそこにはありました。

こういう作品を日本人は作れません。
別に作る必要もないけど、それだけに、
「これは本気だ」と迫ってくるような作品に出会いたいです。

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