ハングタイム・ライターズ

何も見ない日はないのです。何も思わない日はないのです。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『トロッコ』

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前情報まったくなしで見ました。

一言で、「あれ、感動しちゃった」という映画です。

人に勧められなければ決して見ないタイプの映画で、
実際仕方なく見に行ったのですが、
こういう所に宝物って埋まってるんですね。

淡々としてます。
前半はハッキリ言って、単調そのもの。
カメラワークもずっと変わらないので、
この監督のセンスは今イチだなと見限ろうとした
瞬間が何度もあったのですが、
絶妙なタイミングでちょっと良いなと思う所が現れます。
すでにこのときまでに2組が退席。

さすがにどうなるの、この物語は......
と思い始めた後半、劇的にドキドキし始めます。
ロケーションの素晴らしさもさることながら、
説明がなくても「分かる」とグリップできる
感情が怒濤のように押し寄せてきて、気がついたら感動(涙)。


普通にやられちゃっただけかもしれませんが、
こういうシンプルな映画がもっと日の目を見ると良いなあと思います。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『パーマネント野ばら』

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西原理恵子原作の映像化ではナンバー1とか言われてる。
ちょっと待て!
「女の子ものがたり」もかなり良いよ。


ということで、公開が待ちきれなくて早速見に行きました。
菅野美穂主演、吉田大八監督、近藤龍人撮影とあって、
かなりな期待を持って見に行きましたけど、
意外に薄くてアレ?っと肩すかし。


いやいや私の器量が狭くて、「女の子ものがたり」と比較しようと
身構えてるせいだとか、無闇に重箱をつついてるだけかもしれませんが。


原作からインスピレーションして、
菅野さんと江口さんのやり取りとかかなりエッチで素敵でしたよ。
小池栄子も池脇千鶴もいそうでいなさそうで、でもいそうな人たち。
お芝居や映像もきれいで良かった。


でも、何か足りない。
どうゆうことだったのか最後に説明はされるのだけど、欲しいのはそう
ゆうことじゃなくて、ヒロインが今ここにいる世界がどうゆうものか、
というもっと大きいものが見たかったな。


「いや、それは目指したモノじゃないから」と制作者に言われそうですが。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『告白』

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ついに来週末公開。

先日マスコミ試写で見て参りましたが、中島哲也(監督)は、まさに「歩く毒」。
ここまで人間の『悪意』を表現しきるとは素晴らしい。

物語の導入から、青の基調で透明感と生命の薄さを表現しつつ、
かなりカッコいいカメラワーク。
CM界でも人気の高い阿藤さんの撮影は、
ワンカットワンカットがクリアでムダがありません。
そして「リアル」と「アンリアル」を分けるような
ハイスピードとノーマルスピードで見せられる編集は、
物語世界へぐいぐいと引き込んでくれます。

でも、始まって20分ぐらい?してから、なんだかとっても居心地悪い。
そう、人間の悪意がジワジワと押し寄せてくるこの不快感。
それでもって物語の中盤で、少しだけかいま見せる
人間の「善」な部分にホッとさせられたと思いきや、
それさえも冗談ですよと言わんばかりの演出。
もうね~、ホンットに質悪いよ、中島哲也。

それでも見終わったときに思ったのは、
「自分がこのまま映画を作っててもいいのだろうか?」という疑問。
ある種、本気で素晴らしい作品すぎて、
自分の作る物がおもちゃの存在のように思えて打ちのめされました。

松たか子って良い女優ね。
むか~し、木村拓哉と月9に出てて、
バニー・ガール姿で「タララララ~」とか言いながら、
木村君の前で花とか出す手品やってみせてたけど、
あれ見たときは「この女優は大丈夫だろうか?」と
危惧しましたが、いや、持ってるモノが違うなと思いました。
なんと言うか、「まったくの無」になれる女優というか。
ちょっとでも「自分」が残ってたりすると役にはまらなかったりするのですが、
松さんは「ゼロ」になって、その上で「役」になる、というか、
「役」である、という存在になっている、これが何ともすばらしかった。


ところで、ラスト。
あれは本当に「やった」のか、いやいや「やってない」のか、
皆さんの感想をお聞きしたいものです。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『孤高のメス』

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6月5日全国東映系公開の『孤高のメス』試写を観てきました。
前からちょっと気になってたんです、ビジュアル的にもキャスティング的にも。
夏川結衣さんは年齢近いし仕事もしたことあるので、
なんとなく親戚的な気になり感と言いましょうか。


確かに、気になっていただけに、夏川さんすばらしかった。
彼女の出演作(全部観た訳じゃないけど)の中では、
出色の存在感と芝居感で、ちょっとゾクッと来ました。
艶っぽいのよ、目だけのアップが。
手術衣のマスク越しの目だけの芝居が、
緊迫感と堤さん扮する外科医への愛にあふれて、
何とも心地よいです。


だけど......。
誰が見る映画なのだろう?
夏川ファン、堤ファンが観て、もうenough......な世界。
今の医療のトピックスにあまりリンクしない題材で、
いつの時代の誰に見せたい映画なのかが掴みづらく、
かなり不安な作品と感じました。
今の時代、『生体肝移植』とか「脳死臓器移植』とか話題にされたとして、
それが実感として必要な題材なのかどうかが問われるような。
難しいテーマを扱ったなあ......という感触です。


役者の演技や映画らしい映画、という意味では、
最近の、「ドラマから映画」というお手軽作品とは一線を画しているけど。


『地味』な作品がどこまで支持されるか、注目です。


それにしても、夏川さん、存在感増してきましたね。
「新参者」第2話も、夏川さんが出てる、という一点で観ましたもの。
あれでねえ......実際本人は、男に媚びないっつうか、一人で生きて行ける女ってのが、
惜しいような、
らしいような。
もうちょっと、可愛げあると楽に生きられるだろうに、と思うよ結衣ちゃん。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:『必死剣鳥刺し』

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映画館スタッフが運営する「シアタースタッフ映画祭」という祭典が、
7月10日から開催されました。
記念すべき、映画祭第1回目上映作品として、
7月10日から全国東映系劇場で公開される豊川悦司さん主演の
「必死剣鳥刺し」が上映されまして、これを観てきました。

藤沢周平の「隠し剣シリーズ」の中でも傑作と呼ばれている原作を
平山秀之監督が映画化した『必死剣鳥刺し』。
最初タイトル聞いて、「焼き鳥屋さん?」それでもって、必殺技が「鳥の串か?」
とかって思ったけど、そんな平和なお話じゃありませんしでした。
『壮絶!』な立ち回りがラストに用意されていて、圧倒されます。

すごいぞ、平山監督。
久しぶりに観ました、血しぶき映画。
やっぱり時代劇は「ドバッ」と行ってこそだよと実感させられます。
ちょっと前に観た北川景子さん主演の同じく藤沢周平原作「花のあと」も
華麗な立ち回りがあるのですが、こっちは、ドバッといきません。
それはそれで、すばらしい立ち回りで息をのむ美しさがありますが、
トヨエツのはすごいよ。
ここまできたら、もっとドピュドピュ行って下さい!と思ってしまうほどでしたが、
それでも何ともいえぬ充実感があります。

特に、吉川晃司がカッコいいのよ。
吉川ったら、前からかっこ良かったけど、今の方が断然シブイです。
何かこう......「男の匂い」がする。

トヨエツは、20世紀少年の後に撮影したのかしら?ってぐらい日焼けした背中と、
昔はしまってたのにね......というようなお腹まわりが気になりましたが、着物が
似合ってて凛々しかったです。


できれば、裸は吉川のが見たかったな......。

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