ハングタイム・ライターズ

何も見ない日はないのです。何も思わない日はないのです。

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槍ヶ岳へ。・・・二日目。槍ヶ岳登頂。

初日の夜は、
日没前に早々にテントに戻り、シュラフにもぐりこんだ。
外は雹(ひょう)から雪に変わり、積もりそうな勢い。
風は相変わらず強い。
気温0℃だとして、10メートルの風速だとすると、
体感温度はマイナス10℃と言われる・・・。

ピシッと張ったテントの中の安心感。に慣れてきてからは、
生きて朝を迎えること。を、考える。
3シーズン用のシュラフでは快適ぽかぽか。とまではいかない。
そりゃぁそうだ。マイナス10℃は真冬の気温だ。
で、着こめるものを着こむ。
上等なダウンなど持ち合わせていないので、レイヤー作戦。
シャツを着、長袖の下着を着、長袖ソフトシェルを着、
薄手のダウンベストを着、ユニクロのダウンを着、
その上にモンベルのゴアテックスの雨具を着た。
上半身は寒くない・・・。
持ってる着替えをさらに重ねれば、9レイヤーまで行けるな・・・
などと計算しつつ、下半身の冷えをどう守って行くか・・・。
と考える。
シュラフの中、足元に薄手のフリースを詰め、
テントとシュラフの間に靴を置き距離をとった。

雪の降りだした日没後に寒い寒い。と言っているが、
夜が明ける12時間後はさらに冷え込んでいるだろうかと想像する。
12時間もあるのかぁ・・・。と、その長さにちょっと呆然とする。

うとうとと浅い眠りを何度か繰り返す。
でも、まぁ、熟睡の時間が1時間でもあれば、OK。

勉強になったのは、3シーズン用のシュラフでは、
耐えられる寒さではなかったってことと、それを回避するためには
もっといろいろと工夫しどころがありそうだぞ。ということであった。

放射熱を生かす、エマージェンシーシートは何かと便利だそうだ。

で、雪は夜半に止み、朝テントを開けて外を見るとこんな感じ。

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この身を守ってくれた小さな我がテント。
サンキュー。

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あまりよく眠れなかったが、これから寝付けそうもないし、
このあと眠り込んで団体行動に後れを取ってもいかんので、と、
朝飯でも食べようと試みる。
AM:5:50
これも、前回の五竜岳登山のときの経験を生かして
それをそのまま、なぞってみる。
シュラフとマットを端に寄せて、その上に座る。
用意をすっかり済ませてから、入口を開けて、
ベンチレーターを開けて通気を確保してストーブの火をつける。
ほんとはイケない。と言われている。
絶対いけない。と言われている。
だから、ものすごく注意して火を扱う。
前室のほうが、テント本体に火が近い気がしての判断。

火をつけてからは大きく入口のファスナーを開ける。
コーヒーの分と、カップヌードルの分量の水を鍋に入れ沸かす。
無用に動いて火を蹴飛ばさないように。鍋を蹴飛ばさないように。

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7時に判断します。
の隊長の判断は、8時に出発。槍ヶ岳登頂を目指します。
とのこと。
了解。了解。上等。上等。
3時までに槍ヶ岳山荘まで到着すること。・・・
が目標となるとのこと。

あすは、帰りの時間があるので、登頂は目指せない。
目指すのなら今日しかない。
日没までの時間を考えると、
山荘には遅くとも3時~3時半にはついていたい。
であれば、8時には出たい。との話。

2日間お呼ばれのなかったキジうちに行き、気合を入れる。
天気はすこぶる良し。
北アルプスに朝が来る。

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雪の残る双六小屋テント場をあとに、
いざ2日目のスタート。
かかとに靴ずれができてるから、靴下を2枚はく。

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稜線まで出ると彼方に槍ヶ岳が見える。

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樅沢岳山頂。
AM9:20
これから西鎌尾根をひたすら槍ヶ岳に向けて歩く。

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みなで記念撮影を。という隊長を撮影。
予定から3時間遅れている行程だが、
いきり立ったりしないので、助かる。助かる。
突然ストイックになられて、ペース上げられても、
初心者は戸惑う戸惑う。

本日も、助けられ、見守られながらの2日目スタートでありました。

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きれいに尾根が見え、その先に槍ヶ岳が見える。
後から聞いたが、矢野先輩はすっかり今日の予定は変更すると思い込み、
深酒を決め込んで、午前中は少しぐるぐるしていたと聞いた。
それはそれでスゲー話だな。

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ハイ松とハイ松の間を歩く。
昨晩の嵐がウソのような爽やかさ。
上り下りではなく、徐々に高度を上げていく感じ。
歩きやすい。

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左俣乗越。
ここが今日の行程の中間だと想像する。
まだ中間か。と思うのか、もう中間か。
と思うのかは自分のポテンシャル次第。
まだ余裕がありましたが、
後半のほうがきつい。ということをこのあと身をもって知ることとなる。

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千丈乗越えあたりの鎖場。
山も高度を上げていくと険しさが際立ってくる。
疲れてきたころに、厳しくなってくる。という構造。
油断禁物。甘え禁物。愚痴泣き言禁物。
誰かが登ったことが自分が登ったことになりはしない。

自分の足を動かすしかない。

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ラスト1時間半の直登。きつかったっす。
山荘まで休まず登ってしまいますよ。と言われて
一枚レイヤーを脱いだものの、後半寒くて冷えました。
で、山荘までたどり着いて、ジャケット着こんで、
荷物降ろしてホッとしているところです。

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槍ヶ岳にも、小学生がいました。
この子は山頂でも一緒になりました。
2年生だって言ってました。
スゲースゲー。

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で、小休憩したあと、小屋にザックはデポして、槍の山頂を目指します。
15キロの荷物を背負ってないって、なんと身軽なことか。

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すいません、自分撮りです。
なんだか、証拠を残したくなります。
おれは今こんなところを登っているんだぞー!
みたいな・・・。

前を行く隊長が見える。

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槍ヶ岳小屋を振り返ってみる。
シンガリを副隊長がまとめる。
副隊長はひょいっと、あらよっと、朝飯前なかんじで山を登る。

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いくつかの鎖とハシゴを登って、
ついに山頂に手が届く。足を乗せる。
登頂成功!

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登頂PM:3:10
西日を受け、槍ヶ岳山頂の影が北アルプスの山々に落ちている。

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今日一日歩いてきた西鎌尾根が一望できる。
7時間かけて歩いて登ってきましたよっと。

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標高3180mで、
隊長に撮ってもらう。
よくぞここまで連れてきてくれました。
感謝感激。

しかし、顔がむくんでいるのか、こんなものか。

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家に帰るまでが遠足です。
山を下りるまでが登山です。
下りのハシゴ。
油断禁物。

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槍ヶ岳山荘のテント場はいっぱいなので、
予定通り、殺生ヒュッテまで降りてテントを張る。
昨晩のテント場は嵐だったが地面はとてもフラットで
張りやすい場所だった。
今日のテント場は岩場。
ところどころ、一坪くらいづつスペースを作ってあるが、
しかし、ごつい岩場に変わりなし。
大丈夫か!?とテント初心者はビビる。
PM:4:20
グズグズしていると暗くなる。
へっちゃらな顔をして黙々と、
さっさとテントを設営している山の先輩たちに後れを取らぬよう、
迷惑かからぬよう、心配かけぬよう、2回目の自力テント張りにGO。

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コンパクトサイズの2張りを隣り合わせて。
風をよけあいながら。のスペース利用。

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日が暮れるころから、晩飯開始。
昨日は嵐だったからできなかった夜の晩餐。
各自がストーブを持ち寄り、食材を持ち寄り、酒を持ち寄り、
つまみを温め、炒め、シェアしながら酒を酌み交わしていく。
これが楽しい。
なにごとにも熟練が潜み、観察し、話を聞いて身につけていく。
苦もなく、労もなく、「できる」という領域にたどり着くことが大事。

「実力」ということが頭をよぎる。
「優しさ」は「強さ」や「頼もしさ」がもたらせてくれる。

気温も低く、岩も冷たく、そこそこ腹に酒と炭水化物とつまみを
放り込んだところでお開き。
夏ならば、いつまでもやっていたい宴会である。

たぶん、8時ごろテントに入る。

明日は5時出発。との通達。

了解です。隊長。


つづく。


2013/10/hittaka@desk

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