ハングタイム・ライターズ

何も見ない日はないのです。何も思わない日はないのです。

ニシグチtenkoノリコ

フィルムラッシュ:白いリボン

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ミヒャエル・ハネケ。
ってだけで、何かありそうな期待感を持たせるすごい監督。
ジュリエット・ビノシュが出てるからという理由だけで観た「コード・アンノウン」や
「隠された記憶」の意味不明さに翻弄されたのに、懲りもせず観てしまいました。

鑑賞直後はやっぱり、「え~、まさかこれでエンドタイトル来ちゃうの?」という感想。
なんも解明されず、何も説明されず、時代が、戦争が、やってくるんだぜ、という終り方。

「村の不可解な事件」とか「子供への厳格な体罰が云々」とか、
映画の前情報はほとんど関係なかったんじゃ?
と感じさせるような、もっと説明のつかない不快感が次々と襲い、
ドイツ北部という地理的うさん臭さと、キリスト教的厳格さの嫌悪が
ジワリジワリと画面を覆い尽くして行きます。

いや~、言葉は悪いけど、シリアルキラーとか猟奇殺人とかが頻発する国って、
やっぱりどっか宗教の悪しきお導きが原因なんじゃないの?と疑わざるを得ません。
映画を見てない方は何言ってんだか分からないと思いますが、
私が感じたゾワゾワ感を言葉にすると......
「子供だからって、純真無垢だと決めつけるな」ということを「純真無垢であるが故に、
最も残酷さに迫れる」という表現で一遍の映画の中に観させられた......
という肌感。
そんでもって、そんな子供を培養したのは、生まれながらに持ってる『原罪』という
キリスト教的宗教観ではなかろうか......と。

前回のイスラム教の教えと同様に、宗教の偏執的厳格さの中に、
子供の、大人の、集団の「悪意」を増殖させてしまう一面を見せられました。

宗教がなくても何とかなってる日本で良かった。

2011/01/25/tenko

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