レビュー

考えるのではない。感じるのだとあのヒトは言った。

MOVIE

『狼男アメリカン』


『狼男アメリカン』
1981年 ジョン・ランディス監督

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(2009年に出たBlu-Ray 特典映像入フルムーン・エディション なんじゃそれ?)

まず、この作品を語る前に
監督のプロフイールから行きますか。
1950年生まれ。
1971年初の映画(35ミリ)デビュー。
その作品が本作のベースでもある『シュロック』。
地底人(まんま猿人)が現代にあらわれ
色々なことをやる、コメディー・ホラー。
猿人にはランディス本人が扮し特殊メークは
『狼男アメリカン』で再度組むことになる
リック・ベーカーが!。
以後2,3作品はマニアックに指示され
1980年、4作目にあの名作『ブルース・ブラザーズ』を
撮ることになります。
この映画はブルース音楽ファンにも高い支持を受けました。
歌い動くキャブ・キャロウェイが観れたんですから!。
この映画でコメディ映画監督としての才能が開花
したのだと思います。とにかく会話がおもしろい。
カントリーハウスでカントリー調ブルースを歌うシーンなど
最高です。思い出してもにやけます。
映画も大成功。名画の殿堂入りです。
絶好調のランディスがよく1981年に撮ったのが本作
『狼男アメリカン』。

(こんなバージョンも)

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(これが日本バージョン。ダサダサ)

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(劇場パンフにいたってはこのありさま・・買いましたけど)

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まー、ダサイ邦題なこと。この当時SF、ホラーのブームは
来てましたが、この作品のようなブラックジョーク・コメディー&
ホラーをうまく表現出来なかったのだと思います。
ストレートにホラー表現で良かったのにと思います。
僕の中ではホラー映画の中でベスト作品ですが、
こんな興行サイドの対応ミスもあり日本ではそんなヒットしませんでした。
ストーリーはイギリスの寒村をバックパック中のアメリカ青年が
あるものに襲われ狼男に、というとんでもなくダサイストーリーです。
でも全体を構成する音楽チョイスのセンス。いちいち面白い会話。
リック・ベーカー作の素晴らしい変身シーン&狼。
新しいジャンルのホラーの完成でした。
リック・ベーカーは本作でアカデミー賞特殊メイクアップ賞(SFX)を受賞。
コレ以降、狼/猿が彼のライフワークになり以後も
『グレイストーク』
『ハリーとヘンダーソン一家』
『愛は霧の彼方に』(本物のゴリラがま違えるほど)
『マイティー・ジョー』
『PLANET OF THE APES 猿の惑星』
など猿関連の映画のSFXを担当しています。
そんなことでエイプクレージーのエディ・マーフィーのお気に入りとなり
彼の映画のSFXも随分担当していますね。
ちなみに『スターウォーズ』の酒場シーンの異邦人(宇宙人)は
ベイカーのSFXです。
裏方がスターになった最初の人がリック・ベーカーでした。
当時の月刊プレイボーイの彼のインタビュー記事は大事に取ってあります。

めちゃくちゃ話はそれました。
この作品にのおかげで翌年名作『スリラーPV』が誕生するわけです。
勿論このPVのSFXはリック本人です。

その後ランディスは、1983年にエディ・マーフィーとの作品『大逆転』
の大成功で巨匠と呼ばれるようになり、エディとのコンビで
『星の王子さま~』『ビバリービルズ・コ~3』等大ヒットは
飛ばしましたが、ぼくは興味なく離れて行ったのでした。

★蛇足ですがこの当時の特殊メイクアップ賞(SFX)はCG処理は
 いっさいありません。だからメイク賞なんです。
 ちなみにリックの受けたこの賞、賞を作った1回目の初受賞でした。
 これ以降SFX→CGへとハリウッド映画が大きく変わって
 いくのでありました。

10.03.24 Wen.

井上亀夫 kameo a.k.a. prince of fool's