レビュー

考えるのではない。感じるのだとあのヒトは言った。

MOVIE

『ゆきゆきて神軍』

『ゆきゆきて神軍』
1987年 原一男 監督・撮影

日本人として、避けては通れない作品です。

友を思い、国を思い、そして真実を追究して生き抜く。
動物であって動物でない、真の人間とは何かを
考えさせられる、日本が世界に誇れる
傑作ドキュメント映画です。

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約23年前の作品ですが色あせる事無く
今も僕たちに問いかけてくれます。
生きる事の真実を。

なんか書き出しから堅苦しいですがご勘弁を。

ドキュメンタリーの主人公 奥崎謙三。
とにかく強烈な生き方をした人です。
賛否ありますが、真のアナーキストであることは間違いなし。

1943年独立工兵隊としてニューギニアに配属される。
激戦地であるこの地での戦いは双方とも壮絶なものとなる。
千名以上いたうち生き残ったのは30数名。

戦争責任を問うて、1969年1月2日皇居一般参賀の時、手製のゴムパチンコで
3個の玉を発射後、かの地で亡くなった友の名を叫び
「ヤマザキ、天皇をピストルで撃て!」と声を挙げ、さらに一発発射。
この頃から過激さがエスカレートしていきます。
事件後に皇居のガラスが防弾ガラスに変わったのは有名な話です。
このあたり詳しく知りたい方は
『ヤマザキ、天皇を撃て!』三一書房 1972年9月30日 新泉社
1987年8月 ISBN 4787787187

1982年よりこの映画の撮影が始まります。
終戦直後に戦死したとされる友人兵士の真相を追求していく
うちに、真実を知る事となる。

戦争終結後数日経ってから、友が銃殺されたことを。
それは空腹のあまり人肉を食べたという事実を上官が
隠蔽するためであった。

ここからが極端ですが、元中隊長以下3名の殺害を計画、
殺人未遂罪等で懲役12年の刑に服する。
本人は2005年永眠。
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ざっとこんな内容ですが、原監督自らの撮影映像は
淡々とではあるけどアナーキスト奥崎謙三の姿を借り
戦争、人間、日本人、誇り、生きるとはを考えさせられる
傑作映画です。

ま、今現在、思想的に右も左も関係なく、ことあるごとに
『今の日本があるのは』と偏った視点からでなく
ブログ発信してくれているのは
我らが大神戸共栄圏代表の所くらいしかないです。
(偶然にも奥崎さんと同じ神戸、これ因果?)

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★特別攻撃機桜花11型。
母機である一式陸攻から切り離し敵艦に体当たりする人間ロケット。
切り離されたら最後パイロットもろとも生きて戻る事はない。
                       ~大神戸共栄圏より
http://daikoube.blogspot.com/

ハーレーだけじゃないですよ、代表のすごいのは。


原一男監督次作は1994年のドキュメント作品『全身小説家』。
井上光晴の晩年の5年間を追いかけた作品。
これは・・・。ぼくが井上光晴を好きではないので
気持ちが入りませんでしたね。
同じ芸術家のドキュメンタリーで言うとパブロピカソが作品を描く
キャンバスの裏側から撮ってたのがあったんですが(タイトル失念)、
こちらの方が作品に圧倒的迫力があります。
あまり比較対象にはなりませんが。

2004年初の劇場映画(ドキュメンタリーじゃないやつ)次々作
『またの日の、知華』は未鑑です。

長いです。
ここから追文です。

この当時、原は長男を自殺で亡くしています。
仕事が忙しく家庭を顧みなかったのが
責任だったとその責任を自身に問うて四国巡礼。
ガンジス川上流チベットの聖地を訪れ源流にお祈りしながら
『今息子に一番近い所にいます』と語る。
くしくもNHKの原一男のドキュメント。強烈でした。

原一男氏 1945年生まれ。


2010/04/27

井上亀夫  kameo a.k.a. prince of fool's