ハングタイム・ライターズ

何も見ない日はないのです。何も思わない日はないのです。

トゥジュール

♡<フィナンシェ>

トゥジュールのイナキです。
今回は、ウチのお店でもマドレーヌなどのカゲにかくれて、
あまりお客様に手に取ってもらえない地味な存在、
でも凄いポテンシャルをもっていて、もっとたくさんの人に
食べてもらいたいお菓子「フィナンシェ」を紹介します。

名称未設定 1.jpgのサムネール画像
(Financier)


フランス語で『フィナンシェ:Financier』とは金融資本家を
意味するそうです。
形が金の延べ棒を模しているからとか、証券取引所近くのお菓子屋さんが
フィナンシェ(資本家)達が背広を汚さずに素早く食べれるように
考案した...との説もあるそうです。

材料はアーモンドパウダー、小麦粉、卵白、砂糖、ハチミツ、焦がし
バターというシンプルな構成です。
濃厚でコクのある味の決め手はアーモンドの風味と、
それを引き立てる役割の"ブールノワゼット:beurre noisette"と呼ばれる
焦がしバター。その名の通り、(ノワゼット=ヘーゼルナッツ)のような色と
香りにしたバターの香ばしさとコクがアーモンドの風味をいっそう高めてくれます。

ヘーゼル.jpgのサムネール画像
(シシリー産ビオのヘーゼルナッツ)

焦がしバターの作り方も作り手によって様々。
バターを鍋に入れて火にかけ、ヘーゼルナッツの色や香りがしてくる位まで
絶えず混ぜながら焦がすのですが、焦がしが足りないと香ばしさに欠け、
焦がしすぎるとバターの甘い香りやコクが消えてしまいます。
微妙な調整が、味の要となります。

バター.jpgのサムネール画像
(beurre noisette)

これらを使って作った生地を、高温でしっかり焼き込むことで香ばしい
風味豊かなフィナンシェが出来上がります。

近年様々な味やフレーバーのフィナンシェを目にしますが、油が出ていたり、
酸化していたりすることが多く本当に美味しいフィナンシェに
はなかなか巡り会えません。

ポイントさえおさえれば、混ぜて焼くだけというシンプルなお菓子なので
つくてみてはいかがでしょうか?

焼きあげて、ちょうど冷めた位のフィナンシェは外側はカリッと香ばしく、
中はしっとり甘い香りがただよいえもいわれぬ格別の美味さです。
フランスでは、朝焼いたものを裸で山積みにして売っていますが、
日本では大抵袋詰めにして販売するため、表面のカリッと感を味わえることは
ほとんどありません。いわば、自分で作った時だけの特権ですね。


15年前に覚えた、今でも最高に美味しいと思うフィナンシェのルセットです。

卵白         250g 
グラニュー糖     250g
ハチミツ       50g
アーモンドパウダー  100g
薄力粉        100g 
バター(焦がす)   250g

作り方は上から順に混ぜるだけ。
アーモンドパウダーと薄力粉はあわせてふるっておくこと。
ポイントはゴムベラ等で、できるだけ空気を入れないように混ぜること。
焦がしバターは50℃〜60℃くらいで加えること。
型はしっかりバターを塗っておくこと。
生地を絞ったら、3時間ほど常温で休ませてから焼くこと。

焼成温度や、時間はオーブンの機種や、使う型で変わってくるので
一概にはいえません。好みの焼加減を探して下さい。
ちなみに上の写真のものは 200℃/15min で焼いています。

この滋味溢れる味わい、是非たくさんの方に知っていただきたいと思います。

『 TOUJOURS 』

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