バンドに夢をかける高校生たちのために私財を投げ打って
スタジオを作り応援するとともに、人生に必要な事を教え
てくれた実在の男の物語。
初監督、初プロデューサーがタグを組んだ今作。
プロデューサーがちょっとお知り合いだったりするもので、
フィルムラッシュも控えめか......というとそんなわけはない。
阿部ちゃん演じるお弁当屋さんは、とっても良い人、熱い人。
演技も泣けちゃう所があったりしてよく撮れてます。
でも、高校生たちがロックバンドっていうか
アイドルバンドなミュージックで、桜庭ななみよぅ...って感じ。
ギターの男の子が松潤みたいでカッコ良くて、
できれば彼で見たかったな、高校生パート。
物語もギターの子の苦悩、というのが冒頭に出てきたりして、
「オッ、こいつが第2の主役か?」と期待できたのだけど、結局、桜庭ななみ。
かわいいですよ、彼女。
デビューしたとき、サイン第1号、くれたよ。
でも、なんかそぐわない。
そう、ロックバンドには持ってたい「反骨」が見えないんです。
どっか、媚びてる。
ギターの子の方がバンドやってやる!という気迫が伝わってきます。
キャラ設定がどうこうという以前の、
本人がもっている資質のようなものだと思うけど。
ストーリーも実話をベースにしているという前提があるにせよ、
やっぱり「映画にするならでは」の人間ドラマを見たいなと思いました。
「大人がだらしないから、うちら苦労してんだよ」
という子供の叫びを感じて立ち上がった大人と、
大人の想いに素直になれなくて反発する子供。
そういうところがぶつかり合いながら一つの形になっていく、
いう過程がどっか弱くて、というかほとんどなくて、
聞き分けの良い子供に大人ががんばって手を貸しちゃう、
そんでそれにありがたく乗っかりました、というバンドがプロになれたところで、
良かったな、うれしいよな、とは思えないのです。
大人の事情や大人の思いを、大人の間だけで語ってしまってるのも、もったいない。
奥さん役のミムラの見せ場も必要だったのかもしれないけど。
阿部ちゃん演じる男がどんだけのことをしたか、
そりゃもう、まねできない、という事実は伝わります。
モデルとなった仲宗根さんに、合掌。